「旅 × SDGs」~旅の途中、帰国後に見える世界~

みなさん、こんにちは!
最近書きたいことがたくさんあって、わくわくしている横浜ピーセンスタッフの德永涼子(ほたる)です!

今日は、ピースボートが取り組んでいるプロジェクトの一部を紹介します!

 

ところで、みなさんはこのブログの上にある、このカラフルなマーク、ご存知ですか?

最近は、いろいろな企業や団体が起用して、商品開発や販売をしています。
かなり前にはなりますが、東京にある山手線の電車の車体にもデザインされていました!

持続可能な開発目標(SDGs)

2015年9月の国連サミットで採択された、国連加盟193か国が2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標。内容は、貧困や教育、環境など幅広く設定されており、17の大きなゴール(目標)とそれらを達成するための169のターゲットが設定されている。

今回は、そんな「SDGs」とともに航海しているからこそ、見える世界について書いていきます。

SDGs×ピースボート

ピースボートは1983年より、「国際交流」と「平和教育」を軸に船旅を企画してきました。
それまでの活動が認められ、2002年に国際連合の特別協議資格を取得し、世界の様々なNGOとの協力の下、世界中の人々の声を国際社会に反映させていく活動を行っています。

船体にSDGsのロゴがペイントされている

2016年8月からは、使用客船の船体にSDGsのロゴマークをペイントし、地球一周をしています。
そんなピースボートでは、目標達成をサポートするプロジェクトやツアーを準備しています。

今回は、私が地球一周をした際に、実際に参加したオプショナルツアー(以下ツアー)を紹介します!

『昭南島』の歴史を学ぶ:シンガポール

突然ですが、「昭南島」という島を、ご存知でしょうか。

昭南島とは第二次世界大戦中、日本がシンガポールを占領していた時につけた名前です。
当時、占領下で虐殺された人は数万人にも上るといわれ、現地ではその歴史が語り継がれています。

ツアーで訪れる旧フォード工場には、「戦前から戦後にかけて」のシンガポールの様子が展示されていました。
日本がシンガポールの方々に行ってきた残酷な虐待や待遇を目の当たりにしました。

写真の左側に写っている、血債の塔は多くの犠牲者の追悼と、「二度と同じ歴史を繰り返さない」という決意の象徴です。
訪れたその日、私と、ツアーに一緒に参加していた同部屋の友人と献花をしました。

シンガポールといえば、多民族国家で、日本からも訪れやすく、観光地という印象が強かったのですが、それだけではない新たな一面を見つめることができました。

私が学生のころ、日本の「加害」の面をしっかりと意識して学習できなかったこと、そしてそのことに違和感を感じなかったことが悔しくなりました。

過去に何があったのか、その歴史を自身の目でみるという体験は何よりも強く訴えかけてくれます。

マダガスカルの子どもたちとサッカー&スポーツ交流:エホアラ(マダガスカル)

このツアーでは「SOS子どもの村」という団体を訪問し、
その施設に住んでいる、子どもたちとサッカーや日本の遊びなどをして交流しました!

SOS子どもの村

子どもの人権を守るために活動する国際NGO。第二次世界大戦で孤児になった多くの子どもたちが苦しんでいる状況を見て1949年にオーストリアで創設され、それ以降、世界各地に施設が作られてきた。
何かしらの理由で家族と一緒に暮らせなくなってしまった子どもたちは、この施設の中で新しい家族を見つけ、一つの家庭の一員、また社会の一員として育っていきます。

一緒にご飯を食べたり、交流をした子どもたちのバックグラウンドを聞き、マダガスカル自体の課題に触れることができました。
話を聞いていると、日本国内でも似たようなケースがあるように感じたり、知識だけでなく、人間として過ごすことの教育の大切さを思い知りました。

当日は、そこで出会った、当時2歳のロビン(写真:下の一番左の子)につきっきりでした。笑
ロビンはこの日1日一言も発することなく、お別れしましたが、寂しがっている思いがひしひしと伝わってきました。

言葉はなくとも、出逢い、おたがいの心に触れあい、今でも想いを馳せる、そんな大切な人存在になることを知りました。

カリオッカの子ども・若者に出会う:リオデジャネイロ(ブラジル)

 

ブラジルといえば、サッカー!というイメージを持つ方が、多いのではないでしょうか。
ワールドカップも大盛り上がり!

しかし、そこに写っているのはごく一部「光」の部分

カリオッカとは、リオデジャネイロっ子のことを示しています。
そのカリオッカの4人に1人は、ファベーラ(ブラジルにおいてスラム地区を指す言葉)に住んでいるとされています。

家庭を離れ、路上生活をしていることで巻き込まれてしまっている事件も多発していたり、麻薬組織に利用されている子どももいます。そんな生活から子どもたちを守るための団体、サンマルチーニョ慈善協会を訪れました。

訪問先「サンマルチーニョ慈善協会」

高い失業率や不安定な生活から、アルコールやドラッグへの依存、家庭崩壊や暴力から、行き場をなくした子どもたちを守り、社会復帰へのサポートをしている団体。これまで550人のストリートチルドレンの教育現場への復帰に関わり、10代の青少年800人以上の若者の就活をサポートしてきた(2014年時点)。

サッカー観戦はおろか、治安問題から安全な環境で自分たちでボールを蹴ってサッカーを楽しむことができない子どもたちがいます。

その子どもたちが『安全にサッカーを楽しめる』場所をつくることを目標に、ピースボートプロジェクトでは、サンマルチーニョ慈善協会と協力し、募金を集め、小さなサッカー場を作りました。(写真左下、2019年時点)

そのサッカー場で楽しそうに遊ぶ彼らを見て、メディアではあまり報道されない「影」の現場を伝えたいという気持ちが強くなりました。

先住民族マプーチェの文化体験:バルパライソ(チリ)

チリには8つの民族がいるとされており、そのうちのひとつ、マプーチェ族の人たちのもとへ訪れました!

「民族」というと、カラフルな民族衣装を着て、儀式をしている様子や、狩りなどをしている様子などをイメージしますよね。

しかし、そんな彼らが、この現代社会でどう生き抜いているかまで、想像したことはありますか?
彼らはそれ以上に先祖代々住んでいた土地を奪われていたり、アルゼンチンとチリで半分に分断され、それぞれに支配されたり…

想像してみてください。
自分たちの手で築き上げてきた土地が、強制的に軍事暴力や政治、経済、そして社会的な権利なども奪われていく場面を―

写真右上の、マプーチェのおばあさんは、当時の情景を想像し、涙をこらえながら、マプーチェの、少数民族の「今」を話してくれました。文化の継承をしていくことの難しさ、それは日本にも置き換えることができるのではないかと思います。

文化のみならず、民族、あるいは出身の違いによる差別、これも実は見えていないだけで、国内でも身の回りで起きている事実です。
話を伺って、いろいろなことを考えるきっかけになりました。

その他には、日本の文化で浴衣の着付けをしたり、現地の遊びも教えてもらったり、いろんな交流をしました!
(時間が濃厚すぎて、写真を撮るのを忘れてしまいました…。実際に見に行ってみてください!笑)

また、右下の彼女は、話しかけるとその場で自身の民族(マプーチェではない)の、シンボルマークを描いた、マグネットを作ってくれました。片言の英語で話し、なんとかメールアドレスを交換したのですが、帰国後送ってみると届かず…。

また会いに行きなさい・・・ということなのでしょうか。会いたいと思える人が世界に増えていくのも旅の魅力です。

民族の「今」を知ることは、言葉の面でも、会いに行くという面でもハードルが高いかと思います。
このツアーを取ることで、見えてくる、普段は影になってしまう部分にフォーカスを当てることができます

「旅×〇〇」 ~旅の途中だから気づく視点~

いかがだったでしょうか。
どのツアーも内容が濃いですよね。ただ、それだけで終わらないのがピースボート。

船に帰ると、自分たちとは違うツアーに参加した方々が大勢います。
そう、その国で感じたイメージも全く異なるというわけなのです。

それは、いろいろな面からその国や地域を見つめるきっかけになります。

ここでしかできない体験の数々。
1か国10前後のツアーがあるので好きに選んでみましょう。
その選ぶ基準にSDGsという視点をいれて、自分自身の地球に対する基準を改めてみると、帰国後に見える世界が変わってきますよ。

 

ピースボート 德永涼子(ほたる) 編集:金子美奈(みーな)