あれから75年、進みだして3年。

みなさん、こんにちは。
梅雨も明け、ますます暑い日々が続いてますね🥵
マスクを着用しながらのポスター貼りを頑張っている、スタッフのほたる(德永涼子)です。

本日は、2020年8月だからこそ、改めて考えたいことについて書いていこうと思います。

原子爆弾による被ばくから75年、核兵器禁止条約採択から3年

1945年、日本に2つの原子爆弾が投下されました。

8月6日に広島、9日に長崎に。あれから今年で75年。

そして、今年の7月7日、核兵器禁止条約が採択されて、3年が経ちました。
(核兵器禁止条約:核兵器の開発、実験、製造、備蓄、移譲、使用及び威嚇としての使用の禁止ならびにその廃絶に関する条約)

この条約が発効するためには、50か国の批准が必要です。

これまで40か国が批准しており、今日8月6日に新たに3か国が加わり、残り7か国となりました。
その中に、唯一の戦争被爆国である日本は入っておらず、署名すら行っていません。

そこで、被爆75年、この4分の3世紀というこの時期に、ピースボートが国際運営委員を務める、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)は、核兵器禁止条約の国連総会への採択を含め、条約の推進に貢献したとされ、2017年10月6日にノーベル平和賞を受賞しました。

そのICANが、ロシマ・ナガサキ被爆75周年の特設ウェブサイトを立ち上げています(英語で記載)。
合わせてご覧ください。(Webサイトはこちらから)

PBではその核兵器を1日でも1秒でも早くこの世からなくすために長年行っている活動があります。

おりづるプロジェクト ~ヒバクシャ 証言の航海~

おりづるプロジェクト

当時、広島、長崎で被爆された被爆者の方々に乗船していただき、船内や訪れる国や地域で原爆被害の証言を実施し、核廃絶を訴えかける活動。(詳細はこちらから→『おりづるプロジェクト』)

2008年から約12年間経った現在も、核兵器の非人道性を後世に継承していくための活動を続けています。
昨年の夏のショートクルーズでは、被爆ピアノを乗せて日本を一周しました。

私は、参加クルーズの船内で、初めて直接被爆証言を聞きました。
映像などでは何度か聞いていたものの、実際に聞くと一人一人違った当時の様子を知りました。

当時2歳で被爆し、そのことを知らずに大人になり、その後親から知らされて向き合った方や、海外から日本に移住してきた矢先に被爆された方。それだけでなく生前、母親の胎内ですでに被爆してしまったという方。

たまたまその日に、いつもと違う場所に向かっていて難を逃れた方もいらっしゃいます。
そう、いつもの日常を一瞬で地獄へと陥れたのです。それも、同じ人類が生み出したモノによって―。

その体験をしてから、いろいろなイベントに参加したり、発信したりしています。

船内では、そのような企画に、比較的参加しやすく、踏み入れやすいです。向き合う環境あります。

継承、そして後世へ

ところで、みなさんは被爆証言を聞いたことがありますか?
広島、長崎にお住まいの方は、学生時代の平和学習などで聴く機会があるかと思いますが、他県にお住まいの方、そして日本以外の国や地域にすまれている方は、直接聞く機会はなかなかないかもしれません。

そこで、ICANとピースボートは、コロナ渦のこの時期に大活躍の「オンライン」機能を使用して、世界に向けた4回の証言会を行いました。

通常時、地球を一周しながら継続して行っていた、訪れた先々での被爆証言を継続していくための新たな挑戦となりました。

当時日本で原子爆弾により被爆された被爆者の方々の平均年齢は83歳を超え、私たちが当時の記憶を生で聴く時間はあまり残されていません。ましてや、地球一周の船旅に参加しながらとなると、徐々に難しくなってくるでしょう。

その中で今回のような新たな取り組みができたことは、私たちに聞くチャンスが巡っているのではないかと思います。広島や長崎に直接いけなくとも、世界各国にいらっしゃる被爆者の方を集めなくても、オンライン上でつながり、聞くことはできる。これは大きな発見かもしれません。

一人一人が認識しなおすべきこと

今世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス。
最近テレビをつけても、スマートフォンなどでニュース記事を見ていても、必ず目にするかと思います。

ただ、その最中だからこそ、核兵器の居場所はどこにもあってはならないとともに、「核」という存在に対して、世界中の一人一人が向き合っていく必要があると考えます。

私は上記に記載した、7月の証言会中、あるヒバクシャの方に、

「最近のメディアや報道では新型コロナウイルスに注目が集まっている、その中で世界に核兵器廃絶を訴えかけるには、どうしたらフォーカスがあたるのでしょうか。」

と質問をしました。するとその方は、こう答えました。

「新型コロナウイルスは目に見えない。(核実験や核兵器から排出される)放射能も同じで見た目やにおいもわからない、ましてやいつ被曝しているかなんてわからない。切り離して考えるのではなく、そのようなものが存在していることが間違っている。だからこそ私たちは今伝えたい。」

今世界の人々が恐れているそのウイルスと特徴が類似しているものが存在しています。
感染症などは一人一人の予防対策が肝心ですが、なかなか私たちの手でなくす直接的な働きかけは難しいかもしれません。

しかし、核兵器に関しては、人が生み出したもの、つまり人の手で、意思でなくすことができるはずです。

そのために、一人一人ができること。
それは、8月6日、9日、15日、どこか1日だけでも想いを馳せることから始まると思います。

私はこの記事を通して、みなさんに発信をしています。
まずは近くの方に話してみる、言葉に出して伝えてみるというのもきっかけになるのではないでしょうか。

 

ピースボート 德永涼子(ほたる) 編集:金子美奈(みーな)